およそ1年前、施主のSさんは18年暮らした東京を離れることを決意しました。

移住の先は海と山に囲まれた横須賀・佐島なぎさの丘。

東京タワーとスカイツリーが同時に見えた都会のマンション生活から空と海が繋がる自然のパノラマを望む生活への転身です。住まいは広い芝生に建つ、ずっと望まれていた「木の家」です。

横須賀市西海岸にある「佐島なぎさの丘」は、富士山と相模湾を臨む大規模な分譲宅地。大楠山を背にし、逗子・葉山に続く「佐島マリーナ」や佐島漁港を眼下に、マリンレジャーや新鮮な海の幸を楽しめる魅力的なエリアです。

しかしこの夢のような暮らしは、通勤には少し不便な面もあります。それでもSさんは勤務地の銀座まで片道1時間50分の通勤を厭いません。本を読んだりケータイを楽しんだりすることにもすっかり慣れたのは、佐島の家に帰るオフタイムがあるから。

北海道ご出身のSさんにはやはり大自然に囲まれた生活が必要なのだとか。

土地の分譲地であり建物は自由に選べるため、Sさんは迷うことなく「木の家」に住みたいと、設計施工を(株)キリガヤに依頼されました。その理由を「営業担当者の人柄です」と話しますが、それは木の香りが心地いい建物への満足と完成まで親身になって寄り添ってくれたスタッフへの温かいエールなのかもしれません。

夏になって緑を増した芝生の上に、真南を向いた堂々たる佇まい。屋根のてっぺんの煙突が自然な暮らしかたを象徴しているようです。

さっそく家の中を拝見すると、エントランスとリビングの間を格子がさりげなく空間を仕切ります。広い南向きのリビングには、ダイニングも兼用する大きなコの字型のキッチンカウンターを配置しています。逗子のキリガヤ本社で見て一目惚れしたという、高さの低い椅子(宮崎椅子製作所)に合わせたカウンター、キッチン床を低く設計するなど、細やかな配慮が伺えます。

薪ストーブから伸びる煙突は屋上のテラスにまで到達するほどの長さ。寒い冬でも南からの陽光と、熱効率の良いストーブで一日中暖かく過ごすことができます。

将来に備えて、2階は多目的なホールにとどめてあり、子供部屋に発展することができます。このホールからは階下のリビングとつながり、ご家族がどこにいても気配を感じられる、そんな設計の意図も。

木に囲まれた家の空間は、凛とした空気と健康的な匂いが漂います。木の家は人の生活と精神を穏やかに保つための、繭(まゆ)のようなものかもしれません。

施主のSさんはサップや水泳、テニスなどアクティブなスポーツが趣味なので、まだまだこれから佐島の丘の生活を楽しむと話します。東京タワーが見える景色から水平線に変わった目線の先には、新しい期待がますます広がっていくようです。

BUILDER’S NOTE

広々とした室内に、大きな窓から日差しが差し込み、開放的空間をさらに強調してくれます。お引渡しから早1年。現しの梁や柱、パイン材の床板がさらに良い色に落ち着いてきましたね。近隣の自然豊かな環境と共に、暮らしを満喫していらっしゃるS様のご様子に共感。奥様と愛犬Sちゃんとの素敵な暮らしの様子が充分に伝わってきました。この地域で暮らすお手本ともいえるその姿に、「S様のお役に立てて良かった」とあらためて感じる取材のひと時でした。

住宅DATA

神奈川県横須賀市 S邸

■敷地面積/235.20㎡(71.14坪)

延床面積/113.59㎡(34.36坪)

    1階/61.28㎡(18.53坪)

    2階/50.51㎡ (15.27坪)

ペントハウス/3.72㎡ (1.12坪)

用途地域/第一種低層住居専用地域

  構造/木造2階建て+ペントハウス

 間取り/3LDK

設計・施工/株式会社キリガヤ

家族構成/2人、犬1匹

■MATERIAL  

◎ 外部仕上げ

 屋根/スレート葺き

 外壁/左官壁(レーブLM)

 その他/軒破風:米杉・無塗装

◎内部仕上げ

 床材/1F:パイン材20㎜

             2F:パイン材20㎜

    壁/左官仕上(天然スタイル土壁)

取材◎藤原靖久

撮影◎ワイズクリエイティブオフィス